
1.背景
遠くの街に行ってみると、自分が住んでいる街とは違うことがいろいろあることに気づく。そのようなことは、旅の醍醐味の一つであり、自分の街について考えるきっかけやリソースにもなる。
しかし、大きく「街全体」というスケールで、住んでいるのと同じくらい親近感を持つことは、ただ足を運ぶだけでは難しい。例えば、街の大きさや電車などの交通機関、繁華街の配置などの地理空間的な側面や都市計画の側面は、明らかに街の良さや快適さに影響してくるが、ちゃんと意識して分析したり、実際に長い時間生活してみないと、そのようなマクロな要素を実感するところまでは行き着かない。
また、いろいろな街に行ってみたいと思っても、特に海外などは時間がなかったりしていくことができない場合が多い。例えばどこかに移住したとしても、なつかしい街に戻ることはあまりない。
2.目的
ある街で移動しながら、別の街でも同じように仮想的に移動できるようにすることで、別の街に住んでいる感覚を提示し、楽しんだり街について考えたりすることに資する。
3.提案手法
3.1.地理情報のオーバーラップ
まず、街の中心部を定義する。例えば、東京なら東京駅、大阪なら大阪駅を暫定的に定義できるだろう。その上で、緯度経度を持つ2つの座標系のレイヤーを用意する。1つめは現実の地理情報である。もう一つは、仮想的な街の地理情報である。こちらの方は、例えば東京にいながら大阪と比較したいなら、東京駅と大阪駅を同じ緯度経度と見立てて、東京駅と大阪駅の座標の差の分だけ緯度経度をずらした座標系にする。
これによって、東京駅に居るなら、1つ目のレイヤーでは東京駅におり、2つ目のレイヤーでは大阪駅にいるようになる。その状態で、東京駅から2km南に移動すると、2つ目のレイヤーでは大阪駅から2km移動した状態になる。これで、仮想的に東京と大阪を同時に移動できるようになる。
3.2.現実の街と仮想的な街を視覚的に提示する
現実と仮想の街を提示する手法は、あまり変わらない。以下に列挙する。
・地図を表示する方法。これは、緯度経度をずらして地図を取得することで実現できる
・ストリートビューを表示する方法。近くの道路の周辺を写真で見られるようにする
・写真を表示する方法。写真共有サービスからよしなに写真を取ってきて、地図上に配置する。
4.更なる可能性
4.1.コミュニケーション
仮想の街と言っているが、実際にはその街は存在する。仮想の街を表示している状態で、実際にそこに住んでいる人とコミュニケーションがとれたら良いのではないか。
4.2.街の良さを伝える
ある街の特別に良いものを、メタデータや写真でオーバーラップすると、街をより実感できる。以下が例に上げられる。
・家賃
・うまい飯
・憩いスポット
Update: Dec 27, 2013
(niryuu)