AuntBertha はそんな人たちのために、なんと自分の郵便番号を入れて検索ボタンを押すだけで、あなたが得られるあらゆるサービスをリストアップし、サービスのカテゴリなどを選んでいくだけで自分が受けられるサービスが見つけられる仕組みだ。さらに提携組織であればサービスの申し込みも面倒な書類手続き無しにウェブ上でアンケートに答えるようなやり方でその場できてしまうのだ。
Aunt Bertha(*1)は行政や慈善団体の支援サービスを簡単に検索できるWebサービス名であり、同時にそれを運営する企業名でもある。
その開発者/創始者であるERINE GRAYは17歳の時に母親が難病に罹り、受け入れ施設やサービスの検索、申請に苦労した経験を持つ。また彼はテキサス州の契約業者として、公共サービスプログラムのコールセンターで膨大な問合せの内容を分析し、システムを改善する業務に携わった。こういった経験が下地となってAunt Berthaを開発したという。
その特徴は大きく2点ある。
1.検索のために利用者が入力するのは郵便番号だけ。あとは表示されるカテゴリなどから選んでいくだけで該当するサービスの内容が表示され、サービス提供者への連絡方法が示される、というよく練られた使いやすいユーザインタフェース。
2.オープン(ガバメント)データである公共サービスや民間組織の支援サービスという文章表現になりがちな情報を機械可読なデータに構造化・正規化し、システマティックな処理ができるようにした。
ビジネス化に向けては、スタートアップ企業として2012年にCode for Americaのアクセラレータ(*2)に参加し、25000ドルのファンドや訓練等を受けている。
現在、そのビジネスモデル(*3)としては非営利団体、財団、政府機関向けに有料で以下のようなサービスを提供している。
・Aunt Bertha検索インタフェースのカスタマイズサービスを提供
・サービスの申請手続きとその進捗管理を代行するシステムを提供
・利用者が検索しているサービスをリアルタイムに提供する等の分析サービス
<まとめ>
ポイント:
●切実な課題意識(このケースでは課題保有者=開発者)
●オープンデータとそれ以外のデータの混ぜ合わせ、整備、維持
●データ提供者側の作業を軽減する有償サービスの提供
●利用者視点でのUI
ビジネスモデル:
●経緯:開発者の母が難病に罹った時に受けられる社会サービスの検索、申請に苦労したことがきっかけ。
●受けた助成制度等:Code for Americaのアクセラレータ・プログラム
●運営:Aunt Bertha という企業
●収入:非営利団体、財団、政府機関などサービス提供者向けのサービス導入、分析レポートなど
●ソースコード:非公開
●データ:オープンデータ+クローズドデータ
Update: Nov 5, 2014
(higa4(東 修作))